夏休みが近づき、旅行の計画を立て始める人もいるのではないでしょうか。
少し長いお休みを利用して、普段は行けない海外へ足を伸ばしたり、リゾート地でご褒美の時間を過ごしたり。
計画を立てながらワクワクすると同時に、「もっと頻繁に旅行できたらなあ」、「特別な日だけじゃなく、もっと日常的に旅行を楽しみたいな」という思いも抱くことでしょう。
そんな中、Carstay公式アンバサダー2023に選ばれた西川鈴夏(にしかわ・すずか)さんは旅に魅了され、旅を日常生活の一部に取り入れた方です。
今回、彼女が旅を日常の一部にくみ込んだきっかけや、その軌跡、そして思いについてお話をうかがいました。
高校時代に留学生と交流した経験が忘れられず、友達を世界中につくりたいと思っていました。
そのために語学を学ぼうと思い関西外国語大学に進学し、在学中にマルタ島や中国へ留学をしたんです。
2年生の時に「何かおもしろいことしたいなぁ」と思い、マレーシアに1人旅に出たのですが、そこで出会った旅人がきっかけで、人生が旅に染まっていきました。彼は私と年齢が1歳しか変わらないのに、知っている世界の広さがあまりにも違ったんです。
「私も世界中の絶景を自分の目で見てみたい!」
そんな強い好奇心から、大学3年生になると、3か月間の世界一周の旅へ出かけました。
アルゼンチンのパタゴニアやウユニ塩湖、南アフリカのケープタウン、ヨルダンのペトラ遺跡など、世界の名所を自分の目で見てまわりました。
これが2019年のことでした。
大学を卒業してからは、石垣島に移住してダイビングショップやホテルで勤務していました。石垣島の海や自然、人は大好きですが、1つの場所に留まるのではなく、もっと日本中を旅したいという想いが上回り、1年ほどで仕事を辞めました。
そして、日本中を旅するために日産のセレナを購入し、バンライフをスタートしたんです。
最初に向かった場所は、北海道でした。
実家がある大阪から新潟県を経由して、船に乗り北海道の苫小牧へ。そこから道東を巡り、北海道を1か月ほどかけて一周しました。
北海道を一周し終えた後も、とにかく旅を続けたい気持ちでいっぱいでした。
けれども、これからの生活を考えるとお金は必要。どうせ働くのであれば、お金を得るためだけの手段にするのではなく、大好きなことをしながら自分の時間や力を使いたい。
私にとって大好きな旅を仕事にしてみたいけれど、方法はあるのだろうか…。
試行錯誤をしていた矢先、「旅」をテーマにしたSNS特化型コンテストが開催されることを知りました。
およそ4か月間にわたるコンテストの期間中に、ライブ配信やSNS投稿を通して、旅への想いをアピールする大会でした。
まさに自分のありたい生き方を叶えることができると思い、大阪へ戻りSNSの発信に本腰を入れて取り組みました。とにかく応援してくれている人を喜ばせたい一心でしたね。
ありがたいことに、グランプリに選ばれ、実績をつくることができました。
けれども、1つ実績が増えたからといって、劇的に生活が変わるわけではありません。だからこそ、継続的に旅の発信を行うことが必要だと感じています。
このこだわりがあるからこそ、今もSNSでの発信を続けられているんだと思います。
「ピンときたら行ってみる、取り組んでみる」の精神で、日本中のさまざまな場所に足を運んでいました。
栃木県や逗子の映画祭で、現代美術アーティスト・栗林隆さんの体験型アートディレクション「元気炉」の運営に関わらせていただいたこともありました。
それから、したいことを積極的に発信し、実現に向けて行動することも大切にしていました。
「いつかキャンピングカーで日本一周をしたい」、この夢を実現するためにさまざまな企業に対して問い合わせを行っていました。
すると、軽トラキャンピングカーの販売会社・自遊空間株式会社の社長より声をかけていただき、トラベルハウス公認アンバサダーになることができたんです!私の可能性を信じて期待をしてくれた自遊空間さんには感謝しています。
2022年7月からは、念願のキャンピングカー日本一周旅を始めることができました。
クルマにもこだわりを詰め込んでいます。
今乗っている軽トラキャンピングカーは、自分好みになるように、DIYを何度も行っています。
まずは外装の塗装から始めて、次に車内に置く洋服棚やテーブルをつくりました。
ただ、材料を切るにも場所がないので、クルマの中でノコギリを使うことに。おかげで車内は大変な状態でした。
DIYをひとりで行うには道具や時間、場所、と課題が山積みなので、知識があるハヤトさんに教わることにしました。
すると、3時間ほどで車内が見違えるほどに。
クルマを譲り受けた当初は、モバイルバッテリーやソーラーパネルのみが付いており、簡易的に寝れる場所がある程度の車内でした。
そこから好きな姿に変わっていく過程にワクワクして、DIYへの熱がさらに高まりました。
1回目のDIYを経て、まずは半年間生活をして気づいた改善点をもとに、2回目のDIYはモビラボで行いました。
必要な工具が揃っているし、使い方を教えてくれる工場長・涼哉さんもいます。
都心でDIYができる場所はなかなかないので、これからもモビラボをDIYの拠点にしていくつもりです。
すべてが変わりました!
まずは、車内で仕事をしても元気が出るように壁色を変えました。また、フルフラットにできるソファーベットもつくりました。
旅で出会った人が泊まれたり、一緒に車内で語りながら飲めたりできる場所としても使えます。
実は、自分が好きな空間をつくるために、材料にもこだわってDIYをしています。
1回目のDIYをした時から廃材を使っているのですが、費用面を抑えられることはもちろん、資源を循環させられるところが好きなんです。
お金をかければ、誰でも綺麗にクルマをつくれるかもしれません。
けれども、廃材を活用することで、一度誰かが経験した世界を経てやってくる材料に、ストーリーを感じられます。
その材料でつくられたクルマは、私の生活とかけ合わさって、私にしか出せない色を表せると思います。
「ぽんこつバンライファー」として、DIYの過程も含めて私のバンライフを、全てコンテンツとして発信しています。
失敗している様子やバンライフの良いところ悪いところもさらけ出すことで、観ている人にとって、「バンライフ=誰かの生活、他人事」から「バンライフ=身近な生活、私にもできるかもしれない生活」にハードルを下げていきたいんです。
そう思えるようになったのも、旅が私を変えてくれたからです。
最初は「自分が楽しむこと」から始まった旅が、たくさんの人に出会い、優しく受け入れてもらううちに「誰かと楽しむ旅」をしたいと思うようになりました。
特に、参加者全員がいち表現者として他者に与えあうイベント、「バーニングジャパン」に参加した経験が、大きく影響しています。
ギブ&ギブをすることで、自分自身も幸せになることを強く感じることができました。
そのイベントを通じて、こんな気持ちが強くなりました。
「バンライフをしたことがない人にも、何かを届けたい」「出会った人に、私が届けられるコトやモノを渡したい」。
バンライフを始めてから、ギブの精神はどんどんと大きくなっていますね。
現在は日本一周を目指して1人で旅をしているのですが、今後は私が大好きな国際交流とバンライフを掛け合わせた旅を実践してみたいです。
コロナが明けて、海外の方と交流する機会が増えてきました。
たとえば、観光マップには載っていない場所やおもしろい人を彼らに知ってもらえるような、バンライフだからこそできる旅を提供したいです。
そんな体験を通して、日本やバンライフが好きな人を増やしていきたいですね。
大学卒業後、沖縄県 石垣島のダイビングショップに勤務。その後、旅をしながらフリーランスとして仕事を開始。
日産・セレナで北海道を車旅後、SNSを介したライブ配信者として活動を展開し、自治体が手掛ける観光施策、バンライフによるPRを広く実践。2022年7月から、軽トラックの荷台に“家”を載せた「トラベルハウス」でのバンライフを開始し、現在も旅を継続中。
すずかさんのインスタグラムはこちら。