普段口にする食べ物、毎日使う日用品。
私たちの生活に欠かせない物資を運んでくれている誰かがいるからこそ、生活が成り立っています。
トラック運転手を目にしない日はないけれど、社会インフラを担う彼らの生活について、あなたはどれだけ知っていますか?
運送会社の賃上げや働き方のニュースを目にして、何となく「大変そう」と思っていませんか?
今回インタビューをした「もこちゃんチャンネル」さん(以下:もこちゃん)は、トラック業界で働き続け、SNSで日常生活を発信しています。
彼の仕事観を知れば、もっと自分の見えている社会や課題が身近になるはず。
車中泊をすることも多いトラック運転手が考えている、仕事の魅力や苦労、大切な家族観、挑戦について伺いました。
普段は、長距離トラック運転手として働いており、トラックからの景色や内装・車中泊の方法、トラック飯などをYouTubeやTikTok、Twitterで発信しています。
高校卒業後に水産工場でリフトマンとして働いていた際、トラック運転手の話を聞き、彼らの仕事が自分にとっての天職だと感じ、その道に転向しました。
運転は好きだけれども、人付き合いが得意ではない僕に、ピッタリな仕事だと思ったんです。
最初は、近距離のトラック運転手をしていましたが、25歳になって子どもが生まれたタイミングで、給与面を考えて長距離トラック運転手へ転向しました。
気がつけば長距離トラック運転手歴は、今年で13年目に突入しましたね。
友達ができたらいいな、と軽い気持ちでアメブロを始めたことがきっかけです。
次に、YouTubeの動画編集に挑戦し、編集作業の面白さにハマっていき、動画配信を行うように。
気がつけば、登録者数が増えていました。
トラック運転手は、納品をする時以外に人と接点を持つことがありません。
もともと人付き合いが苦手でしたが、仕事に慣れてくると、もっと自分の存在を知ってほしいと思うようになりました。
もちろん、発信をすることで自身の生き方を知ってほしい思いもあるのですが、何よりも、トラック業界のリアルを知ってほしい気持ちで発信をしています。
睡眠時間を削って、大変な思いで運転をしている人もいます。
そんな状態を知ってもらうことで、業界が変わることに寄与したいですね。
観られている自分と本当の自分の、2人の人間が存在していることを感じることはあります。
SNS上では「もこちゃん」を演じる自分がいて、その時は喜怒哀楽の「怒」の感情を見せていません。
動画内の自分は、理想の自分の姿でもありますし、2人のもこちゃんがいようとも、仕事への想いに嘘偽りはないです。
また、登録者数を増やすことへのこだわりも強くなりました。
数多くのトラック系YouTuberの中で、1番を取った時に見える世界を知りたいですね。
とはいえ、有名になることで、否定的な意見と向き合う機会も増えました。
配信を始めて、最初の2~3年は否定的な言葉にひどく傷つきましたが、時間が経つに連れて
「馬鹿にされても、その人に笑ってもらえるならいい」とプラス思考になれました。
自分だけの空間や時間を持てることが、たまらなく好きです。
1番好きな時間は、朝運転をしながら、落ち着いて考え事をする時間ですね。
自分のペースで仕事を進められるので、トラック運転手以外の仕事はできないのではと思っています。
1週間の内、4日間は車中泊生活を送っていますが、本当に楽しいです。
パーキングに入ってカーテンを閉めた瞬間が最高に幸せで、秘密基地にいるワクワクした気持ちになれます。
車中飯を作って、食べながらテレビを観たり、動画編集をしたりしています。
ご飯を作った後にダラダラする時間が1番好きですね。
車中泊の間は、誰もいないからこそ出せる自分がいるんだと思っています。
トラック運転手になった初期の頃から、自由な時間や空間を持てることが好きでした。
家族のことを思い出して寂しくなることもありますが、昔の子どもの動画を観たら気を紛らわせられます。
昔は、エンジン音や強風でバウンドした車体のせいで、眠れない時もありました。
今ではそんな状態も心地よいと感じられるようになり、布団がなくても熟睡できるくらいになりました。
ただ、トラック内での車中泊の楽しみ方は、やり尽くしてきたと感じています。
ハンモックで寝てみたり、テントを敷いてみたり。
実はこの空間でできることはあまり多くないんです。
節約のために始めたことがきっかけで、最初はカセットコンロで、カップラーメンや袋麺を湯がくことが多かったですね。
今では考えられないですが、29円の袋麺、29円の缶コーヒーが定番メニューでした。
徐々に大きいポータブル電源や炊飯器、IHクッキングヒーター、ホットプレートを使うようになり、レパートリーが増えました。
トラック飯のアイデアは朝の運転中に思いつくことが多く、レシピや動画の構成を考えてから、夕方に買い物へ行き作っています。
レシピは、自分で考えたり、サイトや他のクリエイターの方の動画を観て自分なりにアレンジをしています。
仕事を頑張れる源ですね。
トラック運転手に転職した当初、なかなか家に居る時間を作れないため、家族に悪いなと感じていました。
子どもの面倒を見られないし、心配もかけているし、家族の理解を得ないとできない仕事とも思っていました。
けれども、子どもが寂しさを我慢しながらも、応援してくれる姿を見て、仕事を頑張ろうと強く思うようになり、後ろめたさからは脱しました。
1週間のうちに家族と会えない日々が続くからこそ、家族との時間は、自分も子どもたちや奥さんも、良い意味で気を遣い合いながら大切にできていると感じます。一緒にいる時間が長すぎると、側にいれることが当たり前だと感じていたかもしれません。
トラック運転手歴が長くなったからか、仕事で5日ほど家を空ける時に、1日目はホームシックになるのですが、2日目からは会えないことに適応できる自分がいるんです。
また、昔は長距離運転に緊張していましたが、今では自分のペースで仕事ができるようになり、楽しく感じるようになりました。
僕にとってトラック運転手の仕事は「孤独と向き合う仕事」ではなく「自分で創意工夫し、楽しくできる仕事」なんだと思います。
自分の時間を作れたことで、メンタルが安定するようになったと感じています。
感情を整理し、考えることができるようになりました。
また、SNSで自分自身の生活を発信をすることで、人間への苦手意識が克服できるようになりました。
落ち着いて考える時間や人との接点が増え、どのようにコミュニケーションを取ったら良いのか分かるようになり、
人付き合いが少し理解できるようになったと感じています。
何より、笑顔で接してくれる人が多いので、自然と僕も笑顔で返せるようになりましたね。
まずは、SNSの登録者数を増やしていきたいです。
そして、トラック運転手の日常生活を発信することで、業界を変えてみたいです。
どうしても、業界へのイメージはネガティブに思われることが多いと感じますし、閉ざされてしまっていると思います。
だから日常を知ってもらうことで、情報がオープンになり、トラック業界や運転手はかっこよくて楽しい仕事、と思ってもらえるようにしたいですね。
人間が苦手な僕ですが、大変な思いをして働いている人を放っておきたくはないです。
辛い思いをしている人を減らすためにも、業界への印象を変えることから始めたいです。
他にも、山を購入して山中にトラックで行き、車中泊をしたり、南極に行って過ごしたりしてみたいです。
家族との時間はもちろん大切ですが、誰もいない場所で一人の時間を過ごすことも好きなんです。
最後に、お化けは存在しないことを伝えておきたいです。
今までにトラックで心霊スポットを通り、仮眠もしてみましたが出逢えたことはありません。(笑)
もこちゃんという1人のトラック運転手を知るだけで、1つの仕事の在り方を知ることにもなると感じました。
知っている人=知り合いが増えることにより、社会で起こっていることも自分ごとになっていくんだなと
気付かされました。
そして、もこちゃんはSNSでの印象以上に非常に優しく、親しみやすい方でした。
毎日全国を飛び回りながら、家族のために仕事に奮闘する長距離トラック運転手。
TikTokやYouTube、Twitterの総フォロワー数170万人超えのBitstar所属クリエイター。
トラックからの景色や内装・車中泊の方法、トラック飯、グルメなど幅広く発信。