バンライフをしながら、webライターとして南米の魅力を発信する料理人。 南米チリでトラックキャンパーをパートナーと購入し、日本と同じように、海外でも旅するような暮らしを実践しています。 各国の自然の中でキャンプやトレッキングしたり、各国の美味しいものを食べるのが好きです。南米で、毎日起こるトラブルやスペイン語に奮闘する様子を、SNSで発信しています。
今回は、車中泊・キャンプ・トレッキング・博物館を通して自然を体感できる、チリにある広大な公園「パタゴニア国立公園」でのバンライフのようすや、公園の魅力についてご紹介します。
私が南米へバンライフに行くことに決めた理由のひとつとして、「パタゴニアに行きたい!」というのがありました。何年も願っていたパタゴニア行きですが、アウトドアブランドのロゴであることぐらいしか知らず、パタゴニアがどこなのか、どうやって行くのかもわかりませんでした。
実際に滞在してみて、雄大な自然の中で過ごせるパタゴニアは、チリの車中泊旅でも忘れられない場所となりました。地球に生きている!と感じられるくらい、魅力で溢れている場所だったのです。
パタゴニアは、南アメリカ大陸の南緯40度以南のエリアの総称です。アンデス山脈の美しいチリ側と、乾いた大地が広がるアルゼンチン側に渡る、広大な土地のことを指します。
チリ側は、主にアンデス山脈が形成した氷河やフィヨルドの地形が見どころで、ハイシーズンの夏には多くの人が訪れる人気の場所です。一方アルゼンチン側は、乾燥した気候のため草原や砂漠が広がっています。
私たちはチリのプエルトモントという街からカーフェリーに乗り、約1か月間チリ側のパタゴニアをバンライフしてきました。
チリ側のパタゴニアを通る道路は「カルテラアウストラル」と呼ばれ、アンデス山脈の美しい自然の山々や湖を見ながらドライブできる絶景ロード。この絶景を目指して、世界中のバンライファーたちが毎年夏シーズンになるとこの場所へ訪れます。
このあたりは、クルマがないと観光をして回ることが難しい場所です。そのため、毎日多国籍なナンバープレートのキャンピングカーたくさんを見かけました。
ヒッチハイクもひとつの旅の手段となっており、毎日道沿いで大きなバックパックを背負った旅人を見かけます。私たちも時々ヒッチハイカーをクルマに乗せて、一緒に旅をすることもありました。
パタゴニア国立公園は、5つの保護区域からできており、現在は政府が管理をしていますが、「トンプキンス・コンサベーション」という機関によって保護・寄付された国立公園です。
「トンプキンス・コンサベーション」とは、アウトドアブランド「The North Face」の創始者であり、環境活動家であったダグラス・トンプキンスと、その奥さんで「Patagonia」の元社長であったクリスティンが、南米の自然環境や、野生生物を守るために設立した非営利団体です。
莫大な私財を投じて自然環境を守るために、牧場になっていた土地を約31万ヘクタール(東京ドーム6個分)も買い戻し、パタゴニア国立公園創立に尽力。600km以上に渡る農場のフェンスを撤去して元々あった植物を蘇らせたり、野生動物が住めるよう、元の環境に戻す活動を行いました。
チリ政府に土地を寄付するかわりに、きちんと環境を管理するように約束をさせることで実現した国立公園なんです。
トンプキンス・コンサベーションはチリ、アルゼンチン両国で13もの国立公園を作り、公園の数は現在も増え続けています。
私も、想像もつかないような広大な土地を、資金力と強い思いで保護するという活動に興味を持ちました。実際にその場所に足を踏み入れた時は、とても感激したんですよ。
広大な敷地を誇るパタゴニア公園ですが、敷地内では車中泊やキャンプも可能。サステイナブルな高級ホテルに泊まることもできます。
私たちは公園内で車中泊するために、まず事務所に行って手続きをし、入場料を払いました。
2023年1月の時点で、外国人1人の入場料は、1人9000チリ・ペソ(約1600円)で、キャンプ代金は1人8000ペソ(約1450円)でした。入場料を払うと、敷地内の博物館にも無料で入ることができます。
広い公園を進んでいくと、キャンプ場近くの駐車スポットに到着。キャンプ場は広大な芝生エリアで、ピクニックテーブルや水道、温水シャワーが完備されていてとても快適です。
パタゴニア国立公園内にはこのようなキャンプ場が3つあり、それぞれが13kmほど離れています。キャンプ場や車中泊スポットは山に囲まれており、開放感抜群で気持ちいい眺めが広がっています。
パタゴニア国立公園は、アウトドアや動物好きの人にかなりおすすめの公園です。敷地内にはトレッキングできるコースが複数あり、さまざまな動物や鳥を観察することができます。
私たちはトレッキングコース前の駐車場に泊まり、翌日の起床後は、そのままトレッキングに向かいました。パタゴニア国立公園は乾燥した地形で、木が生い茂っていないのでどこからでも見晴らしがいいのです。
歩いていると野生のグアナコや、赤い頭で木に穴を開けているキツツキにも出会えました。このグアナコを捕食するプーマも近くに住んでいると言われていますが、その日は発見することができませんでした。
パタゴニア国立公園は、人工物のない広い荒野一帯が敷地です。事務所のある「入口エリア」には、レストラン・ホテル・売店・カフェ・トイレ・博物館などがあります。
ホテルは環境に配慮した材料や素材が使われたデザインになっており、提供される食事も同様の配慮がなされています。予約をすれば、宿泊者以外もレストランで食事とることが可能です。
売店には、環境に配慮したブランドのアウトドアウェアやグッズが販売されています。私も売店で靴下や手袋、サングラスを購入しました。
また、カフェでは軽食やコーヒーが販売されており、WiFiも使えます。国立公園内で電波が通じるのはこのカフェしかないので、とても助かりました。飲水を汲むことができるウォーターサーバーもあり、何かと便利なカフェでしたよ。
ただし、車中泊用の食材などは売られていないので、国立公園に入る前に食材等の買い出しを済ませておくのがおすすめです。
パタゴニア国立公園でとても印象に残ったのが、博物館の展示です。1か月過ごしてきたパタゴニアエリアの環境や自然はもちろん、地球レベルで何が起こっているのかを、深く考えさせられました。
パタゴニアに住む動物の種類や生態系、あとどのくらいで野生動物は絶滅してしまうのかなど、バンライフしているだけではわからなかった問題について学ぶことができました。
地元の植物の品種を守る活動や、野生動物を国立公園に戻ってきてもらうために、過放牧された羊の牧畜用のフェンスを撤去して元の環境に戻していく活動などの展示が、とても興味深かったです。
チリの北から南に向かってパタゴニア地方をバンライフしていると、人もほとんど見かけず、自然を身近に感じる日々が続きました。その先にあるパタゴニア国立公園は、今この自然環境が日々変化を続けていて、実際に何が起こっているのかを教えてくれる場所です。
南米のバンライフでは日々、水・電気・ガスの供給や補充方法を考えなければならないため、自然と節約して使うようになりました。
クルマの中での暮らしでは、できるだけ水を汚さないようにしたり、食べ物を残さないようにしたり、ガスの残量を考えてお湯を沸かす頻度を減らしたり、スマホを見るのをやめるなど、「地球にダメージを与えないような行動」を取るようになったように思います。
バンライフする前の普段の生活では、エネルギーに困ることがなかったので、あまり考えていなかったことだと思います。
自分たちのできることは小さいかもしれませんが、「環境に配慮する行動」をサバイバル生活やバンライフによって学んでいるところです。
*本文内のパタゴニア国立公園情報確認元:Global Alliance of National Parks
バンライフをしながら、webライターとして南米の魅力を発信する料理人。 南米チリでトラックキャンパーをパートナーと購入し、日本と同じように、海外でも旅するような暮らしを実践しています。 各国の自然の中でキャンプやトレッキングしたり、各国の美味しいものを食べるのが好きです。南米で、毎日起こるトラブルやスペイン語に奮闘する様子を、SNSで発信しています。