車検の悩み解決!キャンピングカーの構造要件、2022年改正の内容を徹底解説
車検の悩み解決!キャンピングカーの構造要件、2022年改正の内容を徹底解説

車検の悩み解決!キャンピングカーの構造要件、2022年改正の内容を徹底解説

「箱根移住夫婦の休日バンライフ」の旦那の方。DIYと運転担当。

ここ数年でキャンピングカーを取り巻く環境が大きく変化しました。


2022年にキャンピングカーの構造要件が大幅に改正され、軽自動車をベースにした軽キャンなどの小型のキャンピングカーが作れるようになったんです。


今回は、2022年に改正された構造要件の内容や、それによってどんなキャンピングカーが作れるようになったのかなど、詳しくご紹介します。

これからキャンピングカーの購入やDIYを検討しているかたは、ぜひ参考にしてください!

構造要件の改正後、小型のキャンピングカーが増えてきた


以前「キャンピングカーの車検とは?購入やDIYの前に知っておきたい車検のルール」という記事で、キャンピングカーの構造要件について触れました。こちらは2021年に公開された記事で、構造要件が改正される前に公開されたものです。



その中で「ハイエースのハイルーフなどの一部のクルマを除いて、車両をDIYしてキャンピングカー(8ナンバー)登録するのは難しい」と紹介しました。


ところが、2022年にキャンピングカーの構造要件が改正されたことで、軽自動車をベースにした軽キャンなどの「小型のキャンピングカー」をたくさん見かけるようになりました。


いろいろな車種をベースにDIYし、キャンピングカー登録することが可能になったんです。

構造要件の改正点は2つ

2022年に改正された構造要件の内容は、大きく分けて2つあります。1つは車内の高さに関する要件、もう1つは就寝設備(ベッド)に関する要件です。


それぞれどんな変更があったのか、変更前の構造要件と比較しながらみていきましょう。

必要な「車内高」の変更


今回の改正の最大のポイントが、キャンピングカーの車内高に関する要件です。


以前の構造要件では、キッチンの前に1600mmの高さが必要と規定されていました。1600mmというと、一般的な国産バンで最大クラスとなるハイエースや、キャラバンのハイルーフでギリギリ確保できる高さです。


ミニバンや軽自動車などの車両では車内高1600mmを確保できず、キャンピングカーとして登録するためにはポップアップルーフなどの大掛かりな改造が必要でした。このため、これまでは小型のキャンピングカーがあまり存在していなかったのです。


今回の改正で、この車内の高さの規定に「調理台の高さが850mm以下の場合は天井の高さは1200mmでよい」といった内容が追加されました。


注意が必要なのは「車内の高さが1600mmから1200mmに変更になったのではない」という点です。キッチンの高さが850mmを超える場合には、これまで通り1600mmの車内高が必要なので注意しましょう。

必要な「就寝設備の数」の変更


今回の改正のもうひとつのポイントが、就寝設備に関する規定です。キャンピングカーの構造要件では、クルマの乗車人数に対して就寝設備の数が決められています。


この就寝設備の数に関して、これまでは「乗車定員の3分の1以上(端数は切り上げることとし、乗車定員3人以下の自動車にあっては2人以上)」と記載されていましたが、「乗車定員の3分の1以上(端数は切り捨てることとし、乗車定員2人以下の自動車にあっては1人以上)」という記載に変更されました。


変更になったのがカッコ内の1文。「端数は切り上げることとし、乗車定員3人以下の自動車にあっては2人以上」から、「端数は切り捨てることとし、乗車定員2人以下の自動車にあっては1人以上」へと変更されました。


これまでキャンピングカー登録をするには最低2名分の就寝設備が必要だったのですが、今回の改正により乗車定員5名までのキャンピングカーでは、最低1名分の就寝設備があれば良いことになりました。

なぜ今、構造要件が変更になったのか


今回のキャンピングカーの構造要件の大幅な変更は、2003年に構造要件が厳格化されて以来、実に19年ぶり。なぜいまこのタイミングで変更され、しかも大幅な「緩和」となったのでしょうか。


そこには、「時代とともにキャンピングカーの使われ方が変わってきた」という背景があります。


2003年に構造要件が厳格化された際、キャンピングカーの使い方として想定されていたのは、「家族みんなで乗り込んでオートキャンプ場にでかけ、クルマの中で料理を作って食べ、寝泊まりをする」といった使い方でした。


「そのためには最低限こういった構造が必要だよね」というのが2003年から2022年まで適用されていた構造要件です。


状況を大きく変えたのが、2020年の新型コロナウイルスの流行。コロナ禍でのアウトドアブームに引っ張られるように、車中泊やキャンピングカーの人気が高まりました。


しかし、それは以前のような「大きなキャンピングカーでみんなで出かける」という需要ではなく、「普段使っているクルマを使って、1〜2人で手軽に車中泊をする」という新たな需要でした。


大きなキャンピングカーから、普段使いもできる小さなキャンピングカーへ。この需要の変化に対応する形で、構造要件が大幅に緩和されることになったんです。

構造要件の改正で「可能になったこと」

ここまでは、2022年に改正された構造要件の主な変更点についてご紹介してきました。しかし、読んだだけでは「たいして変わってない」と感じた人も多いのではないでしょうか。


ところが今回変更があった2点は、キャンピングカービルダーやDIYでキャンピングカーを作ろうとする人、さらに自動車メーカーまで、多くの人が長年待ち望んでいた大転換なんです。


そのことをわかりやすく説明するために、今回の構造要件の変更によってなにが可能になったのかをお話ししていきます。

キャンピングカーのベースとして使えるクルマの種類が増えた


以前の構造要件では、車体をそのままキャンピングカーのベースとして使えるのは、ハイエースやキャラバンのハイルーフのみ。それ以外のクルマをベースとして使うには、屋根や床を切るといった高額な費用のかかる改造が必要でした。


今回の構造要件の変更で「調理台の高さが850mm以下の場合は天井の高さは1200mmでよい」となったことで、多くのクルマがキャンピングカーのベースとして使えることになりました。


ハイエースやキャラバンの標準サイズ(車高が低いタイプ)はもちろん、ライトバンと呼ばれる小さめのバンや、ハイゼットやエブリー、Nバンといった軽バンでさえも、キャンピングカーのベース車両として利用することが可能になったんです。

1人旅用のキャンピングカーも作れるようになった


これまでのキャンピングカーの構造要件は、車内高の話からもわかるとおり「キャンピングカー = 車体が大きい」という前提で作られたものです。今回、車内高の要件が変更になったことで、今後は車体が小さいキャンピングカーも作れるようになりました。


車体が小さいキャンピングカーを作る際に問題になるのが、「就寝設備の数」でした。これまでは、1人旅で使用されることも多い軽バンをベースにした「軽キャンピングカー」のような小さい車両であっても、2名分の就寝設備が必要だったんです。


しかし今回の構造要件の改正で、車内高とともに就寝設備の数にも変更が加わり、乗車定員5名以下の場合は1名分の就寝設備があればよいとなりました。(就寝設備を増やすのは問題なし)


就寝設備を減らすことが可能になったことで、スペースを有効に使えるようになり、車内レイアウトの自由度も上がりました。今後は軽バンベースの1人旅用キャンピングカーも増えていくことになるでしょう。

これからは小さなキャンピングカーがもっと増えていく


今回は、2022年に施行されたキャンピングカーの構造要件の改正についてご紹介しました。


今回の改正は事実上の大幅緩和。実際、2022年4月以降、さまざまなキャンピングカービルダーから軽キャンのような「小さなキャンピングカー」が販売されています。


DIYをしてキャンピングカー登録する際のハードルも、かなり下がりました。


ただし、今回ご紹介したのは2022年に変更されたポイントのみ。キャンピングカーの構造要件は他にも細かく規定されています。DIYした車両でキャンピングカー登録を目指す場合は、構造要件全体をしっかり確認してくださいね。


▼参考資料

国土交通省 「自動車の用途等の区分について(依命通達)」



▼DIYについては以下の記事をチェック!


▼車両DIYのご相談や工具のレンタル、シェアガレージの利用は「Mobi Lab. (モビラボ)」へ!


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